2014/5/17: 出身とはなにか?

伏見 カフェ・ティグレで開催予定の哲学カフェです。

 

《開催前》このテーマのもとで当日話し合ってみたいこと、問いかけてみたい質問などがありましたら、よろしければお書き込みください。ただし、こちらに書き込んで下さった内容は、カフェ当日に配る配布資料に匿名にして掲載させていただく場合がありますので、その旨ご了承くださる場合にのみお書き込みください。

 

《開催後》カフェの最中に言い足りなかったこと、言い損ねたこと、カフェが終わった後から思ったこと、など。もしありましたら、気楽にお書き込み下さい。

 

尚、ポストするには「名前」記入が必須となっていますが、これは本名である必要はありません。

《ご案内》(ご参考まで)

誰もが一度は「ご出身はどちらですか?」という問いかけを受けたことがあるでしょう。この問いかけは一般に、"誰にとっても特定の(一つの)出身地がある"という前提のもとでなされているように思われます。しかし、出身とはいったい何なのでしょうか。生まれた場所でしょうか?育った場所でしょうか?それとも、愛着のある場所でしょうか?それらがすべて異なるとしたら、一体どこの「出身」だと言えるのでしょうか。日頃頻繁に何気なく口にされる「出身」の謎に、みなさんと一緒に迫りたいと思います。

コメント: 6
  • #6

    安田 (月曜日, 19 5月 2014 08:55)

    (これはコメントというよりメタコメントかもしれませんが)
    山方さん、#4のコメントの冒頭の一言、大感謝です。ありがとうございました。

  • #5

    山方 (月曜日, 19 5月 2014 05:56)

    哲学カフェ後の書き込みです。
    短い時間に多くの方が発言し、私も発言したせいか
    活発な意見交換があり充実したものですが
    大変疲れました。ゆっくりじっくり考えるより瞬発力というか
    ライブ感のあるカフェでしたし。
    昨晩、本屋さんで近刊本をブラブラ見ていたら、気になる本がありました。
    『ふるさとをつくる』(東京書籍)です。これからの少子高齢化や独身世帯の増加のなかで、仕事とか暮らしの生きやすさ考えたときに
    多拠点を作る、田舎というかふるさとを都市生活者がシェアして暮らす提案でした。
    「ご出身はどこですか?」と近似した問いに「ふるさとはどちらですか?」にありますが、「出身は変更できるか」は困難な問いでしたが「ふるさとは変更できるか?」とすると案外敷居が低い気がしました。
    出身とふるさとの微妙な違いがあるものですね。出身というとIDカードというか履歴書のような証明が必要な気がしますが、ふるさととなると心象風景でもあるし、幾つもあっても自然だし。個人的には面白いと思いました。

  • #4

    山方 元 (金曜日, 16 5月 2014 04:39)

    明日なので、誰も読まない、読めないかもしれません。安田さんも読めないかもしれませんが、論点出しの追加をします。整理はしていません。

    1)「ご出身」がない社会、この問いを否定する人・社会はないか?
     ◆個人主義者・・・全体主義を否定する人
     ◆リバータリアン・・・自由や民主主義を否定はしないが
     ◆無国籍主義・・・コスモポリタン 世界市民、地球市民主義
     ◆ ハイブリッドな「国籍」「民族」の「混血」、人の移動の活発化によ   る、複数のアイデンティティがあって回答困難あるいは回答忌避
      アメラジアンのような多様さ、
     ◆出身は自分が決められない、決めていない場合
     植民地というか差別や偏見によるアイデンティティ
      例)東日本大震災で「東北」と一括りにされるけれど、内実はバラバラ  東北とは?中央からの呼び名。あるいは辺境の地の見方
      東北出身とは、押しつけられた見方では?
     例)「AV女優出身」・・・普通の俳優ではない。「普通の俳優」とは   非AVであり、男性であるという男性中心の価値観が前提。
      「AV]とか ← 男性優位社会のフレーム
     例)アジア出身  アジアという枠組みは何時、どこで、誰が決めた?
      ヨーロッパ人が区分した地域わけ。西アジアと南アジア、東アジアは
       一緒にできるのか?  

    2)貴種信仰(例:天皇制、家元制度etc)
      「万世一系」とはいうものの誰もが万世一系のはず。
      遡ること自体は「一系」だが、下る場合枝分かれすることを無視。
     「持続可能」とは何か。
      「アイデンティティ」とは何か?
      人間は、「連続」しているのか「不連続」なのか
      ある意味で、親子は原因と結果なので連続だが
      単細胞動物の分裂ではなく、個性が異なり不連続ともいえる。
      遺伝子が継承しているではないかという見方で連続ともいえる。
      無機質なものに持続性というか?有機体・生命現象・生態系・システム  には連続を言うというか、観たがる。
      
    2)「出身」はどこまで辿っていいのか、系列問題
      ■何代前まで遡るのか 面識もない人々や集団に帰属意識が持てるか
    ■複数のハイブリッド ステップファミリー(子連れ再婚)が増加する   なか、血統よりも育つ環境ではないか
      ■血統的には和人でも、和人に捨てられ、アイヌに拾われアイヌ民族と   して成長した人は、和人出身なのかアイヌ出身なのか

    3)多数のアイデンティティがある場合   選択的ご出身
     A国籍(民族・家族)とB国籍(民族・家族)の間に生まれたCが
     D国籍(民族・家族)とE国籍(民族・家族)の間に生まれたFととの間に子どもGをもうけたとする。
     Gの「ご出身はどちらの国籍・民族・家族?」か。
     「ご出身はどちらですか?」は自分で選択するものという意味を前提としているのか、客観的な基準でもあるのか?

    4)日本人とは何か アメリカなどの移民社会でなくても
        賞味期限が切れつつあるものがないか
      変数を三つに絞るだけでも2の3乗の8通りもある。
      言語    住んでいるところ  親             
     日本語     国内  日本
      日本語     国内   日本以外
      日本語     国外   日本
      日本語     国外   日本以外
     非日本語     国内   日本
     非日本語     国内   日本以外
     非日本語      国外   日本
     非日本語      国外   日本以外

    5)「ご出身はどちらですか」の新しい意味の一つ
      「福島から来ました」という回答 → 放射能が移ると忌避、差別
      福島の子どもたち、「子どもが産めない」、「結婚できない」と悩む

    6)自分探し、ルーツ探しは一つではあるが、未来へ向けて
      新たな出身づくりと考えられないか
      ■「ご出身」は変更できるか
     ・学歴詐称
     ・家系図ねつ造(過去へ)
     ・受験学歴競争は 未来の出身変更のための投資か
     ・結婚とは、女性にとって、身分・階層・出身といった社会階層移動  
       の手段であった歴史があるし、今もある。
     ・見た目・・・ファッション、ブランド品、住む場所(六本木ヒルズ)
      インスタントな出身変更
     ・専門職集団 医師、弁護士・・・準拠集団として社会的に尊敬されようとして「士業」としての集団化が行われやすい

    7)ヘイトスピーチ
      「JAPANESE ONLY」の垂れ幕
       排除と同時に自己の出身を確認する行為か
    8)ナショナリズム、パトリオティズム
      出身意識とのつながりと違い
      「自然発生」か社会的に構築されてきたものか
      解放されるべきものなのか、共同体主義のように重視されるものか
      「地域起こし」「まちづくり」「過疎対策」で
      地域の教育が活発になってきた。小学生にも愛郷心を教育して、将来のU  ターン人材や地域から流出するのを防ごうとしている。出身意識は強化  される可能性が高い。

  • #3

    安田 (水曜日, 14 5月 2014 12:40)

    山方さん

    今回のコメントは、最初の#1もそれを削除した方がよいかもしれないという#2も、ぜひそのまま残しておかせてください。ただ、最初のコメントを配布資料に使うか(使うならどの部分を使うか)は、進行役の裁量に任せて頂ければ、と思います。

    山方さんの心配はまさにその通りだと思うのですが、今のところ、当日参加者にこのフォーラム掲示板はさほど閲覧されていない、と思います。(ちょっと悲しいですが。。)また、閲覧に来ても、このコメント#3と#2が先に目に入るはずなので、多くの方は自主的に#1を読むのを控えてくれるだろう、とも期待します。なので、コメント#1の当日の対話への影響は限られているはずです。それよりも、「哲学カフェ」が名古屋にないか、あればどんな感じで開催されているのか、と情報収集にこのHPにやってくる方にとって、山方さんの今回の書き込み(と、このコメント)は、みなそれぞれの意味においてとても役立つ情報が詰まっていると思います。(とくにこのコメントは、山方さんのを前提にしているので、それらがないと成立しません。)全部まとめて、このまま残させていただければ、と思います。

    では、ティグレでお会いしましょう!

  • #2

    山方 元 (月曜日, 12 5月 2014 21:27)

    先ほど、つい書き込んでしまいましたが、
    哲学カフェにとって良いかどうか 送信した後に
    自分で悩んでいます。
    他者に事前に影響を与えてしまったり、当日の流れの水路付けをしては
    おもしろくなくなります。
    当日資料として配ると、「読んで」しまい、「対話」というか
    「発話」や「傾聴」をおろそかにしてはしまいか。

    書き込んだ自分が言うのも何ですが、削除していただいたほうがいい気がします。
    また当日資料などには、利用するにしてもすべてではなくて
    話のネタとして導入に一つくらいか。
    またはペーパーの資料にせずに
    どれから一つのネタを私が皮切りにはなしをするとか。

    取り扱いについて検討したいです。
    とりあえず、消去でも削除でもいいですが
    参加者の目に触れない方がよいと思います。
    すみません。

  • #1

    山方 元 (月曜日, 12 5月 2014 21:14)

    ブログ発表みたいになってしまいます。
    5月17日の哲学カフェに参加するときに影響を受けたくない人は読まない方がいいかもしれません。その場の即興やライブを楽しみたい人には。
    「対話」が変質するかもしれません。

    「ご出身はどちらですか?」は、私が昔NHKで観たジェームズ・三木脚本の『翼をください』という高等学校間の学校歴差別をテーマにしたドラマのワンシーンで用いられたフレーズです。穏やかならぬテーマですが、下記の切り口で考えられるかなと思いました。
    <1>どのような場面で用いられ、どのような働きをしているか。
    ①男女交際相手、お見合い的な場面で → 社会的ステータスの「釣り合い」がとれているか。階級社会的な階級を知るために。
    ②初対面の人と接したときの対応として
     1)会話の切り口という軽い気持ち
     2)社会的人間関係の持ち方を探るため 言葉遣い(敬語、ため口、どのような人とつながりがあるかで大切にするかしないかを決める)
     3)相手を評価(ランキング)するため  学歴、職歴
    <2>この問いかけで何が変化するのか
     1)会話が盛り上がる。同郷の人であれば共通の話題が見つかる。親近感がわく。旅行したことがある土地ならば関連した質問がして会話がつながる。全く行ったことがない土地でも、知らないからと質問ができる。なかなかのマジックな質問である。
     2)「接近」「回避」というか「警戒」「予防」の役割
     社会的身分、所属がわかることで人間関係を作る。
     宗教、ライバル社、禁忌表現、人脈、中国出身だったら尖閣諸島問題は話題にしない。
     3)相手のアイデンティティを探る。曖昧な質問に何を第一に回答するか
    <4>この問いに関連した考え方
     ①ステレオタイプ 大阪出身は○○だ。
     ②環境決定論 人の個性といえども出身となる社会、地域、集団などの環境が決定する。国民性、県民性、民族性
     ③血統論(優性思想) 血の中には大和魂が流れている。
     ④起源遡及的思考 原因がわかれば結果がわかる・みえる。
      未来は変えられない
     ⑤「民族」視 ラテン語でnasci=生まれる・生まれを一緒にした集団=部族=民族=国家となる。出身とは、相手の民族を聞くことになる。
    <5>「ご出身はどちらですか」と問われる側、問われたときの思い
     1)嫌悪感がする人
     ①部落差別を受ける人、在日朝鮮人差別を受ける人、出身で就職、進学、結婚、商売などで差別を受ける・不利になる人
     ②劣等感を味わう人(学歴や偏差値が相対的に低いことを気にしている人、中卒、高卒、田舎とか馬鹿にされるとか)
     ③ステレオタイプから偏見を持たれる人
     「哲学科出身」=屁理屈をこねる・実用的でない
     「東京大学」=高学歴者も実は「頭がよい」「ガリ勉」「常識がない」と臆断されたり、妬まれたり攻撃されたりする場合もある。
     ④「個人」に関心がなく、「集団」に関心がある
      私に興味を持っているのではなくて、所属集団に関心がある
     2)好きな人、喜ぶ人
     ①社会的強者(高学歴、人気企業・職種)②ブランドイメージが高い地域
     ③友人・知人のネットワークで助けられる可能性が高い人
     ④ゴシップ(知人の噂話)が好きな人
     3)どちらでもない人
     <6>この問いのメリット
     ①その人を知る(知った気になる)ショートカットになる
      情報収集の節約、思考の節約
    <7>ご出身の力
     1)中国・韓国では「宗族」(姓と本貫)は相互扶助組織である
       土地と血統が重視される。社会を動かす基本ともなる。